定番!化学実験
発泡スチロール模型その1
 発泡スチロール球(以下P.S.球)で分子模型を作るとき、正しい結合角になるように切断するのが面倒である。ポスカのふたやコンパス・テンプレートなどで印をつける方法1)が紹介されている。しかし、これでも結構面倒である。
 正四面体に円形の穴をあけた治具をつくり,この正四面体の中にP.S.球を入れ、穴からはみ出た部分を電熱線で切れば,簡単にきれいにできる。電熱線の温度にさえ注意すれば,板目紙でできる。
 また、炭素鎖の長い分子模型は、P.S.球に最初からあいている穴を利用すると、きれいな一直線の模型ができる。

   実験の
注意

 刃物を使うので怪我のないように十分注意すること。

    実験の
準
備

(1)道具・材料
道具:
 カッター
 コンパスカッター(約1200円東急ハンズ)
 紙ヤスリ
 爪楊枝,竹ひご
 ニクロム線
 スライダック
 ものさし

材料:正四面体の型
 板目紙
 輪ゴム,
 スプレー糊77

材料:分子模型
 発泡スチロール球 φ25mm(400円/100個)
              φ35mm(600円/100個)
              森本プレン3851-3677
 水性スプレー塗料(黒、赤、青)
 速乾性木工ボンド
 ワッシャー
 ネオジム磁石
(2)正四面体の型をつくる
0)型はメイトウサイエンスから市販されている。
  (http://meitouscience.jp/)
1) 作図には,作図ソフを使用した。
 たとえば,花子は0.1mm・0.1°単位で作図ができる。
 コピーは1%程度(10cmで1mmになる)のずれが生じる。
 必ずプリントアウトしたものをそのまま使用する。
型紙の花子ファイルダウンロード

2) 強度をあげるため、板目紙をもう1枚貼りつけて作る。
 作図した紙にスプレー糊を吹きかけ,板目紙に貼る。

3) コンパスカッターで,穴を切り抜く。

4) カッターで作図通りに切り抜く。
 ・直径27mmの穴の方は,正三角形に4枚切り抜く。
 ・直径24mmの穴の方は,平行四辺形を1枚切り抜く。

5) 平行四辺形の点線の部分を,ボールペンで強くなぞり,
 曲げやすくする。

6) 直径27mmの穴の紙に木工ボンドを塗り、
 直径24mmの穴の紙に貼り付ける。
 (穴がきれいに同心円になるように)

7) 平行四辺形の紙の丸印に輪ゴムを通す穴を開ける。

8) 穴に輪ゴムを通して結び,正四面体に組み上げる。

9) φ35mmのP.S.球を型に入れてみる。
  少しきついくらいが、ちょうどよい。
  あまりにもきついようであれば、当たっているところを探し、  ヤスリで軽く削る。

     実験操作

(1)P.S.球の切断

グルコースができれば、ほかのものはできるはずである。

1) P.S.球に色を塗る。
   P.S.球の穴に爪楊枝をさし,それを台にさして,
  (ポスカor水性スプレー塗料)で塗る。
    炭素 φ35mm 黒 6個
    酸素 φ35mm 赤 6個
    水素 φ25mm 青 6個

2) 乾燥機(60℃,5〜10分間)で塗料を乾かす。

3) 塗料が乾いたら,P.S.球を下記のように切る。
 ●水素は、P.S.球をカッターで半分に切る。
  (成型時の型の線があるので,それに合わせて切る。)
  P.S.球を転がしながら、切るときれいにできる。
 ●炭素,酸素は,次のようにする。
  @) P.S.球を正四面体の型に入れる。
    指で型を押さえつけて、P.S.球に円の跡をつける。
  A) 型の矢印と,P.S.球の穴をあわせ,
    反対側の矢印とP.S.球の穴をあわせる。
   P.S.球の成型時の線と正四面体の線をあわせる。
   P.S.球の穴と型の矢印をあわせて切断すると、
   図のように穴を利用して、
     P.S.球を一直線に串刺しできる。
  B)電熱線で型から出ている部分を切る。
   炭素 4ヶ所
   酸素 2ヶ所

4) 平らな机に紙やすりを置き,P.S.球の切断面をこすり,
  切断面をきれいにする。
  (3)の@)の跡を参考に、削り過ぎないようする)

5) 切断面の穴の対称な位置に,穴を開ける。

(2)P.S.球の接着
6) 炭素5個と酸素1個を図のように組立て,
  木工ボンドで接着する。
  接着面に木工ボンドを に薄く塗る。
  (たっぷり塗ると接着に時間がかかる)
  少し乾かしてから接着面どうしをこすりつけて接着する。   穴に竹ひごをさし3個ずつ串刺しにして,
  接着するとやりやすい(真っ直ぐにきれいにつく)。
  しっかりとつくまで放置する。
  両面テープでつけると、短時間でできる。
  しかし、やり直しがきかないで、
  接着時にコンフォメーションをよく考えてからつける。

7) −OHを4個と−CH2−を1つ作る。


α−グルコースの構造式

(3)模型の組み立て

8) α−グルコースの構造式は左図の通りである。
  構造式をもとに,分子模型を組み立て,接着する。
  1番、4番の炭素についているOHとHは接着しない。
  β−グルコースやデンプン,セルロースなどに応用ができる。


(4)セルとロースとデンプンの模型
9) 生徒実験で作らせ、何人かの模型を持ち寄らせると、
 セルロースやデンプンの模型を作ることができる。
 この場合、HやOHのP.S.球はつけない方がよい。
 模型が複雑になりすぎてわかりにくい。

10) 1番と4番の切断面にワッシャーを接着し,薄いネオジム磁石でグルコースの模型を接合すると,簡単に模型を作りかえることができる。
  

       成功のコツ


 ・ 型の製作は正確に。0.1mmの精度が必要。


 ・
 電熱線の温度を上げすぎない。

 ・ 切断面の修正を丁寧に。

   

       参考文献

 1) 平尾二三夫,板倉聖宣,分子模型を作ろう,仮説社(1992)
  



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