発泡スチロール模型その1 |
発泡スチロール球(以下P.S.球)で分子模型を作るとき、正しい結合角になるように切断するのが面倒である。ポスカのふたやコンパス・テンプレートなどで印をつける方法1)が紹介されている。しかし、これでも結構面倒である。
正四面体に円形の穴をあけた治具をつくり,この正四面体の中にP.S.球を入れ、穴からはみ出た部分を電熱線で切れば,簡単にきれいにできる。電熱線の温度にさえ注意すれば,板目紙でできる。
また、炭素鎖の長い分子模型は、P.S.球に最初からあいている穴を利用すると、きれいな一直線の模型ができる。
刃物を使うので怪我のないように十分注意すること。
(1)P.S.球の切断
グルコースができれば、ほかのものはできるはずである。
1) P.S.球に色を塗る。
P.S.球の穴に爪楊枝をさし,それを台にさして,
(ポスカor水性スプレー塗料)で塗る。
炭素 φ35mm 黒 6個
酸素 φ35mm 赤 6個
水素 φ25mm 青 6個
2) 乾燥機(60℃,5〜10分間)で塗料を乾かす。
3) 塗料が乾いたら,P.S.球を下記のように切る。
●水素は、P.S.球をカッターで半分に切る。
(成型時の型の線があるので,それに合わせて切る。)
P.S.球を転がしながら、切るときれいにできる。
●炭素,酸素は,次のようにする。
@) P.S.球を正四面体の型に入れる。
指で型を押さえつけて、P.S.球に円の跡をつける。
A) 型の矢印と,P.S.球の穴をあわせ,
反対側の矢印とP.S.球の穴をあわせる。
P.S.球の成型時の線と正四面体の線をあわせる。
P.S.球の穴と型の矢印をあわせて切断すると、
図のように穴を利用して、
P.S.球を一直線に串刺しできる。
B)電熱線で型から出ている部分を切る。
炭素 4ヶ所
酸素 2ヶ所
4) 平らな机に紙やすりを置き,P.S.球の切断面をこすり,
切断面をきれいにする。
(3)の@)の跡を参考に、削り過ぎないようする)
5) 切断面の穴の対称な位置に,穴を開ける。
(2)P.S.球の接着 6) 炭素5個と酸素1個を図のように組立て,
木工ボンドで接着する。
接着面に木工ボンドを に薄く塗る。
(たっぷり塗ると接着に時間がかかる)
少し乾かしてから接着面どうしをこすりつけて接着する。 穴に竹ひごをさし3個ずつ串刺しにして,
接着するとやりやすい(真っ直ぐにきれいにつく)。
しっかりとつくまで放置する。
両面テープでつけると、短時間でできる。
しかし、やり直しがきかないで、
接着時にコンフォメーションをよく考えてからつける。
7) −OHを4個と−CH2−を1つ作る。
α−グルコースの構造式
(3)模型の組み立て
8) α−グルコースの構造式は左図の通りである。
構造式をもとに,分子模型を組み立て,接着する。
1番、4番の炭素についているOHとHは接着しない。
β−グルコースやデンプン,セルロースなどに応用ができる。
(4)セルとロースとデンプンの模型
9) 生徒実験で作らせ、何人かの模型を持ち寄らせると、
セルロースやデンプンの模型を作ることができる。
この場合、HやOHのP.S.球はつけない方がよい。
模型が複雑になりすぎてわかりにくい。
10) 1番と4番の切断面にワッシャーを接着し,薄いネオジム磁石でグルコースの模型を接合すると,簡単に模型を作りかえることができる。
・ 型の製作は正確に。0.1mmの精度が必要。
・ 電熱線の温度を上げすぎない。
・ 切断面の修正を丁寧に。
1) 平尾二三夫,板倉聖宣,分子模型を作ろう,仮説社(1992) |