定番!化学実験
点眼ビンと点滴ビン
 学校5日制,総合学習の時間,教科情報の導入などで,化学の授業時数の確保が難しくなっている。しかし,このような状況下でも実験は大切である。短時間で効率よく実験をしたい。そのための実験室の整備方法を,ここでは紹介する。

 実験の時間の中で,試薬を量り取るのに時間をとられることが多い。
 そこで,今回は点眼ビンと点滴ビン,気体試薬の取り分け方を紹介する。

        実験の
準
備

(1)器具・試薬
器具:
 点眼ビン10ml 12個×試薬種類 (100入り,約1500円)
 点滴ビン25ml 12個×試薬種類 ASONE(100入り,約2000円)
 点滴ビン25ml 12個×試薬種類 ASONE(100入り,約3100円)
 スポイトボトル500ml 試薬種類 1個約120円
 マイテーパック マルエム1800ml 10入り,約2000円
 スクリュー管No.2 12個×試薬種類
     マルエム(100個入り,約5000円)
 スクリュー管No.5 12個×試薬種類
     マルエム(50個入り,約4100円)

     解

(1)溶液の容器

1)常用する溶液・試薬はすぐに使えるように小分けしてある。
常用の溶液は,25または 50 ml の点滴ビン,
使用量の少ない指示薬などは,点眼ビンに小分けして使用している。

2)点滴ビンに溶液を入れておくと,溶液を少量ずつ取りやすく,ピペットによる不純物の混入もない。

3)外ブタはしなくても,1年くらいなら問題なく使用でき,フタの閉め間違いによる不純物の混入がない。ただし,アルコールやアンモニア水などの揮発性の強い物質や石灰水のように空気と反応する溶液は,外フタをしている。

4)臭素水やヨウ素ヨウ化カリウム溶液は,ポリエチレンなどを透過するので,ガラス製のスポイトビンに入れている。

5)点滴ビンには,それぞれ班番号がつけてあり,その班番号のものを使用させるようにしている。溶液の使用状況から,どの班でどのように実験がされたかを把握できる。

(2)容器への小分け

1)点滴ビンへの溶液の小分けに手間がかからないように,左図のような洗ビンの先端をバーナーで融かして引き伸ばし細くしたものを作り,使用している。スポイトボトル(パーマ液を入れるような容器)を購入すれば,細工の手間はない。

(3)小分けしていない溶液

1)点滴ビンに小分けしていない液体は,(良くはないが)試薬ビンから駒込ピペットで取らせている。試薬ビンに試験管を輪ゴムで付けて,駒込ピペットを差し込んでおくと便利である。
 こぼすと厄介な試薬の時は,トレーの中に試薬瓶を置き,その中で薬品をとらせる。

2)有機溶媒であれば,試薬ビンに直接取り付けることができる分注器(商品名:ディスペット)を使うと,正確な体積で一定量の液体が取ることができる。

(4)固体の容器

1)固体試薬は,スクリュー管に小分けしている。

2)試験紙なども1cm位に切り,スクリュー管に入れる。

3)薬さじを直接入れるので,異物の混入の可能性がある。
 容器はなるべく小型のものにし,試薬も少量しか入れない。

(5)気体の取り分け

1)気体の密度測定やNOとOの反応などのように気体を使用する場合は,マイティーパック((株)マルエム)という医療用のポリ袋に試料気体を入れている。マイティーパックの口には,ゴム栓に三方コックとツベルクリン用の1ml 注射器が付けてある。図のように,ディポーザブル注射器で気体をとり,各班で実験に使用している。 
  

   

   

       参考文献

 1)塚越博,化学教育,41,508(1993).
 



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